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Japonismは聴くジャニーズ批評

本日はJaponismツアーの初日。いま新幹線で向かってるとこなんです。ドキドキが止まりません。
コンサートが始まるまえに、アルバムの感想言っときたくて、とりあえずささっと。あとから注つけます。
 

ジャニーズのジャパネスク演出は、いつから始まったんだろう。曲名でいえばスシ食いねえとかサムライニッポンとか言い出したシブがき隊からなのかなあ。

日本人が外国からのまなざしを意識し、そのオリエンタリズムを逆手にとって表現しはじめたのは70年代(たぶん)。山本寛斎高田賢三がパリコレデビューし、山口小夜子がアジアンビューティーとして名を馳せた。その先には78年結成のYMOがいる。電子音楽でやるマーティン・デニーというコンセプトをかかげ、「イエローマジック」と自ら名乗った彼らから、音楽界では「エキゾチック・ジャパン」が始まったと言ったのは菊地成孔。テクノ、ニューウェーブでのそうした動きを歌謡曲が取り入れて、ジャニーズから忍者や少年隊や光GENJIといった和の名前のグループが出てきたのが80年代後半。彼らはラスベガスで見るカブキショーのような、なにかが誤配されている日本のイメージをパフォーマンスしてみせた。
 
こうした80年代の文化的背景によって土壌が整ったのもさることながら、ジャニーズの重要な要素に「エキゾチシズムとしての日本」があるのは、なによりも「ジャニー喜多川がアメリカ人だから」と分析したのが『ジャニ研!』という本。ふだんは忘れてるよね、ジャニーさんが日系アメリカ人だってこと。英語まじりの変わった言葉づかいをジャニタレを通して知ってはいても。
この本、ジャニーズ史を通してアメリカ文化がいかにして日本を文化的に侵略したかっていうのが分かってすっごいおもしろいのだけど、Japonismというアルバムは私にはこの本とリンクして聴こえる。聴くジャニーズ批評とも言えるんじゃないかと思ってます。
 
アルバムの方向性をもっとも端的に表すのはJaponesqueとマスカレードの二曲じゃないかな。
Japonesqueのサウンドは、一風堂とか、そのまたルーツのJAPANといった80年代のニューウェイブバンドを彷彿とさせる。JAPANへのオマージュっていうのは言葉遊びも含めて、絶対ある気がする。
 
で、潤くんが好きと言ってるマスカレード。問題作です。この歌詞といいメロディといい編曲といい、今の時代に絶対やんないやつですよね!?だって、ハイウェイから風のセレナーデが流れるんだよ!?
作詞は嵐ファンにおなじみHYDRANTさん。いつもはこういう言葉使う人じゃないじゃん。80年代歌謡曲クリシェを選び抜いて書かれたパロディなのでしょう。
編曲の船山基紀さんは80年代から活躍してる大御所で、仮面舞踏会も手がけておられます。現在も第一線の作家で、普通につくるんだったら今はこういうレトロなキックやベースライン選ばないはず。歌謡曲らしいアレンジを求められる人ではありますが、セクゾンのLadyダイアモンドとか、なつかしげでもここまで古色蒼然としてないでしょ。
80年代歌謡曲の完璧なシミュレーションが、非常に批評性を感じさせる曲です。
 
アルバムを通して、80年代歌謡曲とジャニーズへの批評となっているという気がすごくします。
マスカレードは当時の音楽の完璧なシミュレーションだけど、他の曲は80年代に流行したラテンフュージョンのスタイルをふまえつつ、アレンジやサウンドは今の音にアップデートされています。ここに、故きを温ねるだけじゃない、現在からの視点が保たれています。
 
アルバムのリード曲である心の空は「ソイヤ!」ってコールしたくなるような、今どきのマイルドヤンキーなお祭り感に溢れている。「誤配の日本」ていう意味ではこのYOSAKOIみは、今絶対入れなくてはならないものでしょう。
 
それから、アルバムで聴いてやっぱこの曲すごく好き!!!と再確認したのがSakura。今年こういうテーマでツアーをやることは年明けには決まっていたようですが、シングルもそういう意図のもとにあったのかな。
ベースはラテンハウスでスパニッシュ風味なギターが効いてますが、このアレンジに必殺仕事人とか大江戸捜査網とか特捜最前線とかの仕置人もの(?)のドラマ思い浮かべるのは私だけかしら。幼少期のおぼろげな記憶では、劇中音楽がこういう感じだったような気がするんだよね(若い人は当然わからないと思いますが)。ウロボロスのドラマの復讐のストーリーとの関連性でこういうアレンジにしたのかなあってとこも含めて面白い。
 
あとね、BoleroもすごいしMiyabi nightはくせになるし、三日月というエレクトロニカの佳曲もあるし...とまだまだ語り足りないのですが、それは後日。
 
このアルバム、好き嫌いは分かれそうですね。ジャニーズのトンチキ部分と歴史を愛する人にはたまらないものがあるけれど、ネタがわかったほうが面白いタイプの作品なので、引っかからない人にはあんまり...なのじゃないかと思う。
私はすごく好きだし、嵐のこういう冒険心てほんと推せる!!て思ってます。
 
さてさてコンサートはどうなるでしょう?もうすぐ名古屋です。