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スイーツブログじゃなくてジャニーズはおやつですっていうブログ

SMAP騒動についてお局社畜ヲタが思ったこと

解散したい、独立したいというアイドルグループがいたとします。やめたくなったのなら、仕方ないことです。でも事務所担としては、ジャニーズのグループは、ジャニーズという閉じられた世界の中で育てられた男子たちが放つきらめきにこそ意味があるんだけど、君はそこを出ていってしまっていいのね?と改めて問いたい。外に出ちゃうと、スパンコールやラメや羽根の魔法はとけて、そういうネタをやってる人にしか見えなくなるのだから。

スパンコールもラメも羽根も身につけたくない、って出ていって、成功した子もいます。そのことは彼の選択が正しくて良かったと思うばかりです。でも、5人はそうだったんだろうか。趣味のいい人道的な、他の事務所に行って大人のタレントになり、5大都市のドームの喧噪を過去のことにするつもりだったんだろうか。私たちはあの空間に熱狂と幸福があって、それは一方的なものじゃないと信じていたけど、そうじゃなかったんだろうか。

置いていかれた、というつもりはありません。おそらくは置いていくつもりもなかったのです。だから今の選択をしたんだって、私は受け取る。そこを引き受けた人たちのことを、かっこいいと思う。

それにしても何かと謎が多く、とまどうばかりです。

まず、事務所が首根っこを摑んでいたのだとしても、あの会見の台本はもっと穏当にできたはずなのに、なんでわざわざ、ああしたのか。大スターを傷つけ、テレビのこちらの我々もその苦さを共有しなくてはならなかったのはなぜか。そのことだけは今思い出しても辛く、理解しがたい。事務所のイメージが悪くなり、所属タレントの仕事に差し支えないかという点でも心配になる。

ただ、ここで言っておきたい。糾弾する対象を見付けることは簡単です。でも、悪者を見つけて叩くことには意味がないだけでなく、本質を見誤ります。

悪の枢軸扱いされている人たちは、ただひたすらに悪なのか。そんなことは絶対ない*1。誰かが好きな誰かを、懸命に育てた人なんだよ、みんな。ただ、少しずつ噛み合わないことが出てきて、悪循環が続いて、手に負えなくなってしまったんじゃないか。

ジャニーズは良くも悪くも特殊な箱庭です。今回のことで、あらためてそう思いました。だけど、「悪く」のほうばかりが強調され、消費されていくのは耐えがたかった。特に、箱庭の環境なんて今まで気にもとめたことがない大人の男性たちが、労働問題めいたキーワード*2で得意げに斬り刻んできて、ずかずか乗り込んできて、おまえらの洗脳を解いて庭から連れ出してやるといわんばかりの発言を繰りかえすことにはうんざりしました。自国の慣習を物差しにして外国の慣習を野蛮なもの扱いするように、下品なことだよ、あんなの。

荒っぽい物言いをしてしまってすいませんね。とにかくこれが一番いやだったんだよね。

そして私は社畜生活に慣れすぎたお局なので、感傷的になりきれず、どうしても数字のほうが気になってしまうのだった。そこ計算すると、「おっさんたち、自分の独立と同レベルのしょぼい話だと思ってんじゃねえよ。そのほうがよっぽど侮辱だわ」って言いたくなっちゃって。

ジャニーズ事務所全体の年商とSMAPの年商は、 他業種にたとえると、大手出版社の会社全体と書籍事業部ぐらいの額*3、と見るとわかりやすいです。書籍事業部出身の専務が創業者一家の社長と争って、「書籍事業部ごと独立する!△△新書はレーベル名そのままでもらいますから!」 っていうのに匹敵するんです。

双方に言い分はあるのでしょうが、どっちにしてもそう簡単に片付くことではないのは分かりますよね。「ワシが育てた」のは事実でも、会社のブランド力があったからできた作品っていっぱいあるわけで。作品そのものの力がまず一番重要なのだけれど、それはたくさんの人に支えられた一大プロジェクトで、個人の力だけでは世に出ない。生み出す金額が大きいだけに、何カ年か計画で事業移管してから切り離さないと困る人も大勢出るはず。円満に送り出してやるべきだと外野が簡単に言っていい話ではない。 

だからといって個人の自由が妨げられてはならないのですが。そこでバランスをとるとしたら、時間をかけるしかないと思います。

芸能界にも、野球やサッカーのように、移籍でチームにお金が入るようなシステムがあればすっきりいくのかもしれません。そっち方向で話がサクサク進むと、それはそれで困るけれども。

SMAPが、客観的事実だけ並べてみれば、今は事務所を辞める時期にはとても見えないのも謎です。

SMAPクラスになれば、本人の意に染まないような仕事はさせていないでしょうし、 タレントに対しては金払いがいい事務所だとも聞きます。 それにパラリンピックサポーターなど長丁場の仕事を何件もかかえているのに、 事務所をやめたら違約金やらなにやら発生するはずで、それを無視してまで出ようとしたのか。そんな無責任な人たちじゃないもの。受け入れ先になるといった他の事務所だって、そのへんどうするつもりだったんだろう。

もしかしたらSMAPは、何年かに一度こういうありえないバグが起こるようにプログラムされているんじゃないか、とSFめいたことすら考えてしまう*4

 ここで更新したら、もっと強くなるんだよ。そういうことにしておきたいんだ。もう。

 

 

*1:今回、古参の事務所担やTOKIO担の人が「言われっぱなしのまま黙ってたけど、こうなったら言うわよ」ってネットのあちこちで語り始めたのエキサイティングだった。

*2:2015年の文春メリーインタビューで、世間から「パワハラされてる」っていう感想を引き出した時点で、けんかに負けたけど勝負に勝ったのはミッチーだと思ってる。でも、歴史的にみて、彼女がおとなしく引いてたわけじゃないのも知ってる。ある程度自分から煽ったとこはあった。

*3:私が見た報道では、会社が1100億ぐらい、Gが200~250億。講談社全体と講談社書籍事業部の額に近い。とはいえ億単位で違うけど、「一つ、二つ、三つ、いっぱい」の精神でひとつよろしく。

*4:友人は「これは都合の悪いことを隠したい政府の陰謀だ。それで引っかき回されたんだ」と冗談半分に言っていた。陰謀論は好きじゃないけど、今回はちょっと賛成です。